tsugubooks

会社員が、週末本屋さん・tsugubooksをしてみたキロク。清澄白河と下北沢での本屋さん活動や、本の旅のことを。少しずつ整えていきます。

“不死鳥のようにいつかまた蘇りますから。” くすみ書房 久住邦晴さんは、そう言った。

 

Twitterを見ていたら、訃報のニュースが流れてきた。
びっくりした。ショックを受けている。
悲しい寂しいまだ66歳じゃないか早すぎる。

 

一度だけお会いしたことがある。
笑顔で「若い人が、本が好き、書店が好き、本に関わりたい、と言ってくれて、嬉しい。」と何度も何度も言ってくださった。

過去の手帳のメモを見返す。

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2015/6/11にあるイベント(本とは関係ないもの)を見に行きたくて、
会社に午後半休と翌日の午前半休を申請し、札幌へ飛んだ。

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空港から市内へ向かう電車で、「そうだくすみ書房に寄ろう!」と思い立ち、場所を調べるため、HPを見る。
ちょうど数時間前に「6/21を最終日とし閉店」とのお知らせが出たところだった。

ebook.itmedia.co.jp

 

慌てて、そのまま、くすみ書房へ直行。
店内をぐるぐる周り、できる限り本棚を見て頭の中に入れる。
本を買う。

レジで「久住さんはいらっしゃいますか」とうかがったところ、「各所にご挨拶に行っていて…今不在なんです。」と。
東京から来たことを伝えると、店員さんが「夜もう一度来てください、その頃はいると思います。会って行ってください。」と言ってくださった。
しかし、夜はイベントがあり、翌日は朝から東京に帰るので、もう訪ねることはできない。
本と本屋さんが好きなこと、くすみ書房はWebで知って一度訪問してみたかったこと、実際に来てみてとても良い本屋さんだと思ったこと、を店員さんに話して、お店を後にした。

 

イベントは、よかった。刺激もあった。
しかし、どうしてもくすみ書房が気になり、少し早めに退出し、再度訪ねることにした。
本棚をもっと頭の中に入れておきたい、覚えておきたい、と思ったのだ。

 

店内に、久住さんが、いた。
「あの、」と話しかけたところ、
「もしかしたら東京の方ですか?聞きました。案内しますよ。」と。

 
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<「この壁のところがいいです」とおっしゃったので、光が邪魔だなと思ったけど、ここでパチリ。中学生との取り組みを嬉しそうに愛おしそうに説明してくださった。>

  

それから、久住さんは一階と二階を歩きながら、
「こういうフェアをよくやっているんです。インターネットでもよく取り上げてもらったんですよ。でもまだこの本は売れないですねぇ。」
「中学生が体験授業でこういうものを作ってくれました。いいでしょ?」
「ここには、中高生におすすめの本を、並べています。ジャンル関係なく置いているので、普段は読まない本も手に取ってくれるんじゃないかと思うんです。」
と説明してくださった。学生さんについて話す時は、愛おしそうな顔だった。

合間には、
「たくさんの人にご迷惑をおかけしました。最後まで、しっかりと、本を売らなければいけません。」
「今日は閉店がニュースになったから本が売れて…ありがたい。でも複雑です。いつもが今日みたいだったら、よかった。」
「本のことは少しはわかるのかもしれませんが、経営が、うまくなかった。」
という話もあった。

 

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<有名な「売れない文庫フェア」>

 

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<「時々書店をやっている人から、自店でどういう本が売れているのかを聞く機会があったりして、それは楽しい時間です。」と話されていた。>

 

2階に椅子があり、そこに腰を下ろす。
「どういうことがしたいんですか?」と訊いてくださった。
「本屋さんが好きで、でもわたしは今の仕事も好きだから、会社員は辞められません。だから、本屋さんを開業するわけではありません。でも、本を届けることはしたいんです。本に触れる場所をつくりたいです。」といったようなことを答えたと思う。(自分が話したことはメモが残っておらず、記憶も曖昧。)

それから、内沼さんの講座でお世話になっていることを、話す。
「そうですか、内沼くんの教え子…書店でも若い人と一緒にやっていると聞いていました。」と、にこやかに頷きながら、話を聞いてくださった。

 

会話は10分ほど続いただろうか。

「あなたみたいに若い人が、本が好き、書店が好き、本に関わりたい、と言ってくれて、嬉しいです。本、いいでしょ?」
「東京ではいくつも成功している書店があって、それは素晴らしい。」
「地方でどうやったら成り立たせられるかが、私にはわからなかった。地方では、こういう総合的な書店が大事なんですよ。」
「あなたが本に関わることをされるなら、ぜひ幅広く、扱ってください。」

最後に、「“内沼くん、心配してくれてるかもしれないけど、不死鳥のようにいつかまた蘇りますから。” そうお伝えください。」と、内沼さんへの伝言を預かる。

記憶の中の久住さんは笑顔だらけだけど、書きながら、この時は真顔だったのかもしれない、と思った。はっきりとこの時の久住さんの顔が思い出せない。メモには、「自分も書店でお客さんに本を届け続けたいんだという意思が強く強く感じられた。」とある。
話をする中で、若い内沼さんが書店を成り立たせていることを心から喜ばれていることは伝わってきた。学べることは学んで北海道でもできることはしたというような話もされていたと記憶している。
(伝言は、その日のうちに、Facebookを通じて、内沼さんにお伝えした。)

 

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<当日掲示された「閉店のお知らせ」。夜は、お知らせを見て、驚いて立ち寄る人が多くいた。>

 

久住さんから、本の話を聞き、店内を案内してもらうという贅沢をしてから、約2年。
「幅広い本を扱う」ことはできていない。まだまだ頑張らねばならない。

久住さん、「本、いいでしょ?」という問いには、今も全力で「はいっ」と答えられます。

 

※写真は全て許可を得て撮影。当時、別ブログをしていたので、「ブログ掲載良いですか?」とうかがい、「いいですよ」と許可をいただいております。
※内沼さんへの伝言は、本来内沼さんだけのものです。が、今回ブログに書く許可をいただきました。

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