こんにちは、tsugubooksです。
7月から、九州ローカルと東京ローカルとを本でツグことを、始めました。
こちらでは、今後、イベントのレポートや九州で本に関わるみなさんのインタビューなどを、お送りしていきます。
今回はそのプロローグとして、tsugubooksによる手記を。
九州が好きな方も、今までご縁がなかった方も、よろしければ、少しおつきあいくださいませ。
人は接点を求めてる?
2016年4月、熊本地震が起きた。
東京在住のわたしの周りには、“熊本”を心配している人・何かしたいと思ってくれている人が、たくさんいた。
けれども、わたしが思っている以上に、熊本は「遠い」らしい。「接点が無い」らしい。以前から、よくそんな声を耳にしていたが、震災以降、より多く聞かれるようになった。
「観光で行くことで応援したいけど、九州に一度も行ったことがなくて…どこに行ったら支援になるのか迷惑になるのかがわからない。」
「ぐっさん(わたしの呼び名)、どこか信頼できる団体とか個人的に好きなお店とか紹介してもらえない?寄付したいんだけど、顔が見えるところが良いし、でも知っているところがなくて。」
そこで、「接点がなくても、寄付をすれば良いし、応援すれば良い。」「接点がなくても被災地にかけつけるボランティア、寄付する人々は、たくさんいる。」と言う人もいるだろう。
だが、友人の気持ちも、理解できた。東日本大震災のときに、わたしも「顔が見えるところを長く支援したい」と思ったのだった。
想いを行動に移すために、気持ちを継続させるために、「接点」は大きな役割を果たすのではないか。
よし、接点をつくろう。
九州という島とわたし
熊本地震後、たくさんの人が声をかけてくださったのは、わたしがよく熊本のお土産を配りながら、熊本の話をしていたからだろう。
両親が熊本県出身で、毎年夏の一ヶ月と冬の二週間は一家全員で熊本の祖父母宅へ行き暮らしていた。お盆と年末年始という、大事な時間の思い出は、熊本とともにある。わたしの中で花火大会といえば火の国まつりだった。
双方の祖父母からは、しょっちゅう荷物が届いていた。開けてみると、西瓜、晩白柚、八朔、デコポン、ぽんかん、柿、有明海苔、あんこもち(もちの外にあんこがくっついているのではなく、もちの中にあんこが入っている)、うまかっちゃん。
台風が発生すると「熊本に行くか、逸れるか」と気になる。実家が地上デジタル放送を導入してからは、お天気情報に「熊本県」が登録されていた。両親の住む「埼玉県」、親戚の住む「熊本県」、こどもたちが住む「東京都」が並んでいる。
小さい頃から、自分の中に当たり前のように「熊本」があった。
就職後、長崎勤務になった。長崎で生活し、福岡へ買い物にでかけ、大分や佐賀へ旅行に行き、熊本の親戚宅へしょっちゅう遊びに行った。
「熊本が好き」から「九州が好き」へと変わって行った。
東京へ戻ってからも、定期的に九州へ行ってしまう。
関西出身・現在東京在住。本籍は熊本県だけれども、熊本県在住歴は無し。
「ふるさとは、熊本です」とは言えないから、「熊本は第二の故郷です」「九州に思い入れがあります」と言うことにした。
全てを飛び越えて楽しいことを
5月のGW中、接点をつくる場を設けたい、九州に関するイベントをしたい。その想いが溢れてしまった。
やろう。
ちょうどその頃、空犬通信「熊本の本屋さん」をずっと追っていて、本屋さんが大変だ、何かしなきゃ、と考えていた。
小さな頃から、夏休みには熊本市内の本屋さんめぐりをしていたし、長崎時代は仕事が辛くなったら熊本の本屋さんに逃げ込んでいた。長崎書店・まるぶん・当時アーケードにあった紀伊國屋。後に蔦屋書店熊本三年坂店。
熊本の本屋さんに、何か恩返しをしたい。
すぐにはできないかもしれないけれど、何かいつか。
とりあえず、本のイベントにしよう。そう決めた。
お会いしたこともなかったけれど、ホームページやTwitterを見て強烈に惹かれていた熊本の文藝出版社 伽鹿舎さんに、連絡をした。なぜか引き受けてくださった。
5月17日、話を進めつつ方向性を迷いながら、ふとTwitterでつぶやく。
励ますとか、応援とかじゃない、イベントをしたい。
— tsugubooks (@tsugubooks) 2016年5月14日
本好きの。熊本の本屋さんに行きたくなるやつ。
きっかけが震災でもいいと思う。今だから、って。ただ、かわいそうだからじゃなくて、良い場所だから行きたいってなるやつ。
清澄白河のカフェ・gift_lab_GARAGEの後藤さんから、リプライをいただいた。
(後藤さんは、何かをしたいというわたしの話を、何も形がない当初から聞いて見守ってくださっていたお一人。)
@tsugubooks 楽しそう!ってなるのがいいですね。全てを飛び越えて。
— toshikazu goto (@gift_gt) 2016年5月14日
全てを飛び越えて。
このとき、大きな方向性が決まった。
全てを飛び越えて楽しくなる、わくわくする、そんなイベントをしよう、九州の人と一緒に。
一度接点を持って「楽しい」を共有してしまったら、また会いたくなるだろう。お互い気になってしまうだろう。
「あの本を買いに九州に行こう」「あの本屋さんを見に南阿蘇に行こう」「熊本地震から1年か、あの本屋さんはもう全面OPENしたかな?」
「東京行くときはあの本屋さんとあの本屋さんをまわって・・」「東京は大雨かー、電車止まってないかな?大丈夫かな?」
そうやって想いを馳せる相手がいる、会いに行く先ができる。お互い幸せじゃないか。
二度と東京にも熊本にも「もしも」がこないことを願っているが、「もしも」が来たら、寄り添いあえるかもしれない。
周囲の人に「こういうことをやりたいんだ」と話してみた。
つたない話はすぐには届かず、みんな「?????」となっていたけれど。
人に話したら、始めるしかない。
こうしてスタートを切った。
点と線
これから、九州と東京とをツグ場をつくっていく。
それはとても小さな活動で、どれだけの接点が生まれるかはわからない。
でも気持ちが溢れてしまったのだから、やらずにはいられない。
熊本と清澄白河。南阿蘇と下北沢。
九州ローカルと東京ローカル、一見どんな結びつきかわからないけれど、実は本でつながっていた、tsugubooksがきっかけだった、そうなったら嬉しい。
今後、点が生まれる場のことを書いていきたいと思います。
これからどうぞよろしくお願いいたします。
tsugubooks